平成18年4月1日に介護保険制度の一部が改正されましたが、判断能力が十分でない高齢者が、その時々によって、自分に必要な福祉サービスを選んで、手続きをするのはなかなか大変なことだと思います。また、認知症が進むにつれ、財布や通帳をなくすなど、日々の金銭管理もだんだん不安になってくるものです。
こうした場合に高齢者が地域で安心して暮らし、個人の財産と権利を守るしくみとして、「地域福祉権利擁護事業」と「成年後見制度」があります。
まず、社会福祉協議会が行っている「地域福祉権利擁護事業」ですが、サービスの内容としては、金銭管理サービス(日常的な金銭管理が難しい方のために必要な預貯金の出し入れと本人への現金の受け渡し、公共料金・家賃等の支払いを行う)・生活支援サービス(福祉サービスの利用手続きを援助し、定期訪問による見守りなどを行う)、財産保全サービス(通帳・証書等を金融機関の貸金庫を利用して確実に保管する)があります。
つぎに「成年後見制度」とは、高齢で判断能力が十分でない方々も安心して生活できるようにご本人を保護し、支援する制度です。
判断能力が衰える前に、将来に備えて、「支援を受けたい内容」と「支援をしてもらう人」をあらかじめ決めておく「任意後見制度」と、既に判断能力が衰えた後で、その程度によって「補助」「保佐」「後見」の3つの利用の仕方がある「法定後見制度」があります。
ご本人の判断能力の低下が少しであり、日常的なことの援助だけでよければ、「地域福祉権利擁護事業」を、ご本人の判断能力が著しく低下していたり、重要な法律行為(不動産の処分、遺産分割など)や施設への入所契約などを行うときには、「成年後見制度」を利用するとよいでしょう。
また、本人の利益のため、2つの制度を併用することが出来る場合があります。
「成年後見制度」の詳細や申立て方法などについては、お近くの司法書士事務所や(社)成年後見センター・リーガルサポートにご相談ください。
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